「…というワケでして……」
居なくなったアリスちゃんの居場所が分かった。
Trip!!〜8〜
「本当にあいつは…」
ギルバートさんが額を押さえて文句を言っている。
彼の言った『あいつ』はアリスちゃんじゃなくてブレイクさんの事だった。
ウチはギルバートさんの隣でこの話に混じっている。
アリスちゃんを待っていたオズが商人から貰っていたリンゴ等が入っている紙袋とエミリーが地面に落ちてたのを見つけた。
その事を切っ掛けに、ウチ等はこの目の前で優雅にお茶を飲んでいる少女の屋敷に来た。
「ねぇ、シャロンちゃん。」
オズが何かを考えたらしく、少女に問いかける。
「ブレイクのことだから、なんの考え無しに敵地へ突っ込むような真似はしないよね?」
オズの考えはこう。
ブレイクさんはなんらかの脱出方法は考えている筈…
逆に其れを使って此処からでもアリスちゃん達の所まで行けるのではないか?
「ええ…そうですわね。」
少女は音をあまり立てずに椅子から離れ、彼女の後ろにある天幕の中に入った。
ポン…
右足を出すと音が鳴り、忽ち黒い影が出た。
そして、その黒い影の中心に白い穴。
周りは風が吹いて、少女のスカートが靡く。
( !! うおっ!?)
少女の後ろに付いて来たウチ等。
だからなのか、瞬間的にウチはしゃがんだ。
「 …何やってるんだ?」
ギルバートさんがウチの行動について聞いてきた。
「いえ…別に。(見えたっ!!)」
ウチ等の話しを聞いていない二人。
勝手に話が進む。
…どうやら、その穴からチェシャ猫の所へ行けるらしい。
「わかったー。ありがとうシャロンちゃん。」
「ワーイ」と無鉄砲に入ろうとするオズ。
「待てオズ!」
咄嗟にオズの前に出るギルバートさん。
従者として主を危険な場所に行かせたくないみたい。
「オレはアリスの契約者だ。」
「…!」
オズの眼が変わった。
「其れにオレが行くのを予定に入れている筈だよ。」とエミリーを持ち上げて説明をする。
ブレイクさんが「早く遊びにおいで〜☆」と言っているように聞こえるらしい。
「どうかな? シャロンちゃん。」
オズの推理を聞いて少女はニコ…と首を傾ける。
「さぁ…ブレイクの考えは私にもよく分かりませんので…v」
オズと一緒にヘラッとしたのは言うまでもない。
「どうする? ギル??」
「はぁ…来るなと言われても付いて行くさ…!」
ギルバートさんが折れた。
「いってらっしゃーい。」
ウチが行った所で役に立つ事なんてないから、手を振ってお見送り。
「シャロンちゃん、 の事よろしくね。」
「はい。分かりました。」
「せーの」で入って行った二人。
スウ…と穴は消え、この場に居るのはウチとこの少女だけ。
「本当にオズ様は貴方にそっくりですよ…ザクス兄さん。」
…なんか、この子に兄ちゃんがいるみたい。
クスクスと笑うのを止めてコッチを見る。
「立っているのもなんですので、椅子に座りましょう。」
「あー…はい。」
勧められてウチ等は今さっきのテーブルへと向かった…
「初めまして。私はシャロン = レインズワースと申します。」
「あー…ウチは っち言います。」
「どうぞ。」と言われてティーカップに紅茶が入れられる。
紅茶は飲むけど、なにが『美味しい』か『不味い』のかは分からん。
「 … …と呼べばよろしいでしょうか?」
…やっぱり面白いwww
「あー… かな?」
そう答えるとシャロンちゃんは不思議そうに首を傾げる。
「あら… はお名前ですよね?」
(プププ…)
文化が違うとギャップが面白い。
「うん。よく『名前は?』って言われるとフルネームで答えるけど、本当は『 』っち言った方がいいんやけどね。」
シャロンちゃんは紅茶を飲みながら聞く。
「多分、この国で名を言うなら『 』だね。」
ウチも紅茶を啜る。
程良い熱だった。
「では、 ですね。」
ニコリと笑うシャロンちゃんにウチも笑った。
「そだね。」
「…あら?」
「どしたん?」
唇からティーカップを離す。
「…ブレイクの影を見失ってしまいました。」
「影…?」
不安そうな顔をする。
「ええ、私のチェインは主に移動と情報収集をやっています。」
「移動…情報……あー…だからチェシャ猫の所に行けるんだ。」
やっと理解出来た。
「その通りです。だからブレイクの影に付いていたのですが…」
「……。」
ブレイクさん…どうしたんだろう?
「仕方ありませんわ…オズ様の影に付きましょう。」
なんか念じたりするんかな?っち思ったけど、全然そんな素振りを見せない。
「そのようですわね。」
ビクッ
急に独り言を始めたシャロンちゃん。
何事かと思えば、多分オズ達と会話をしている様子。
(……ビビるわ。)
「…兎に角、今は2人を探してください。」
まあ、ブレイクはそう簡単に死にはしないでしょうから……
「ッブ!」
ちょっと紅茶を吹いてしまった。
あ、アレ…?
「どうぞアリスさんを優先して…」
そう言うと向こうで何かがあったらしい。
シャロンちゃんは一息ついた。
「シャロンちゃん…今さっきブレイクさんの事を心配していたのに扱いが酷い…www」
ギャップについ笑ってしまった。
「ああ、アレですか…?」
シャロンちゃんは優しく微笑む。
「ブレイクを信じてますから。」
『……しんじていいの?』
『ええ、私は貴女の傍にずっと……』
「キモチワルイ…」
「え…? さん…?」
自分でも分かる。
軽蔑しているような顔をしているって事を…
「あー…ごめん。チョット昼に倒れちゃって…其れがまた来ちゃったみたい…。」
「あら…そうでしたのですか?」
あちらにベッドがありますが…と勧められた。
「……うん。ごめんね?」
ウチはまた天幕のかかっている部屋に入って行った…
「………。」
横になったのは良いけど眠れない。
「『信じてる…』」
くだらない。
信じてしまったら、裏切られた時に絶望するだけじゃん。
最近 出てくる≪アレ≫を思い出す。
信じたら負け……ってね…
軽く瞼を閉じたー
← 漆話に戻る / 玖話に行く →
--------------------------------------------------
あとがき
…そろそろキーボードクラッシャーになるかもしれません。(笑)
チェシャ猫戦が始まりました。
再編集で最後に主人公の独白を入れました。
そして名前のネタバレをしましたねw
私的に『名は?』と聞かれたら と言い、
『名前は?』だったら と答えるべきだと思います。(どうでもいい)
今回は前編仕様です。
章の数を増や……ゲフン!
来週、国家試験があるのであんまりUp出来なくなると思います。
そして課題もあるんで…
では今回はコレで…